ブログ布留川のほとりから

祈りを込めた手作り人形-姉様とモタンカ-

2023年03月15日 (水)

ウクライナの伝統的な人形に「モタンカ(Motanka)」があります。 この名前は“針を使わないで作る”というウクライナ語に由来するようです。 これは、持ち主の身を魔物から守るお守り人形として7000年以上も前からウクライナの地に存在していました。

 

日本でも、お産が軽いように(宿直犬)、疱瘡にかかりませんように(赤ベコ)など 祈りや願いと人形は密接に関係しています。 これらは専門の職人が製作しますが、モタンカはプロではない一般の女性が、生地を手で裂いて糸で包みながらつなぎ合わせていきます。

 

日本の伝統的な手作り人形といえば「姉様(人形)」でしょうか。 姉様は千代紙などの衣装を着せた紙人形で、手足を省略し、表情を描かないものも多くあります。観賞用ではなく、少女たちがままごと遊びのために作った人形です。江戸時代に女の子の遊びとして広く普及しました。 モタンカは立体的な布人形ですが、顔を描かない(十文字に糸やリボンを巻く場合もあります)パターンは姉様と通じる点です。

 

現在、モタンカは3階で展示中です。ぜひご覧ください。

 

姉様 右から 東京、岡山、静岡、産地不明〈すべて館蔵品〉

日本民俗室 H 

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