ブログ布留川のほとりから

お姫様かんざし ~ おしゃれ話その9

2022年02月22日 (火)

時代劇で、お姫様が写真のような華やかな簪(かんざし)を挿している姿をご覧になったことがあるでしょうか。これは明治時代に少女の間に流行した前差(まえざし)簪です。幅広で、華やかな飾りを盛り付けることができ、髪に挿すところが根元で自由に動きます。幕末最末期に登場した簪なので時代劇の設定には合致しませんが、豪華さゆえに歌舞伎に用いられて時代劇と結びついたと考えられます。妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)の登場人物、雛鳥の前髪を飾っているのがおもちゃ絵からわかります。おもちゃ絵は浮世絵版画の一種で、人物や建物を切り抜いて組み立てて遊びます。最も盛り上がる「吉野川の場」で、川を挟んで見つめ合う悲恋の二人。その雛鳥の髪を美しく彩る前差簪です。

 

第88回企画展ブログ10】

日本民俗室 H 

ページの先頭へ