ブログ布留川のほとりから

お洒落はたいへん-洗髪事情-  ~ おしゃれ話その6

2022年02月10日 (木)

前回、簪(かんざし)の片方は耳掻き、もう片方は髪掻きと書きました。そんな道具を髪に挿すなんて…と思われたかもしれません。現代は清潔志向で、毎日髪の毛を洗う人が多いことでしょう。私自身子どもの頃(昭和40年代)は週に2、3回程度しか洗髪しなかったように思います。江戸時代ともなると洗髪は月に1、2回でした。なるほど頭がかゆくなるはずで、二本足の簪、特に銀簪は硬いので地肌を搔くのに便利でした。当時の洗髪はまず梳櫛(すきぐし)でよく髪を梳いて油を落とし、布海苔(ふのり)をお湯に溶かしたなかにうどん粉を入れて髪にすりつけ、毛先までよく揉み込んで洗いました。最後に水ですすぐと美しい艶が出たようです。まさに天然素材のシャンプー・リンスですね。着物を濡らさないよう髪を洗うときは上半身裸ですし、ドライヤーのない時代のこと、長い髪を乾かすのも一苦労で、冬場は風邪を引かないよう手際が求められました。お洒落はたいへんです。

『女子風俗化粧伝』(天理図書館蔵)

 

第88回企画展ブログ7】

日本民俗室 H 

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