スポット展示「折紙の世界」その1
2021年04月02日 (金)
2階展示室日本民家ステージでは折紙作品を展示しています。
「おりがみつきだ」という表現を聞かれたことがあると思います。
これはもちろん褒め言葉です。二つ折りにした文書で、美術品や刀剣の鑑定書に使われ、その価値を保証するものです。
折紙は物を保管したり、携帯したり、贈答するときに“包む”という行為から発展しました。紙は貴重品なので、平安時代から包装具として使われるようになったと考えられています。当然使えるのは貴族です。
『源氏物語』の「蜻蛉(かげろう)」の巻に、夏の暑い日に氷を割って「紙につつみ御前にもかくて参らせたれど」と出てきます。女房たちが氷片を紙に包んで頭や胸に当てて涼んでいたようです。これはおそらく“畳紙”と呼ばれる懐中紙で、貴族は鼻紙、メモ用紙として使用するために懐中に携帯していました。
“過剰包装”として包む行為が簡略化されて物がむき出しになる昨今ですが、丁寧に包む(紙を折る)所作は、日本人が古来物を大切にしてきた思いの表現ではないでしょうか。
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