共同展「天理 山の辺の古墳」開催中!
2021年02月26日 (金)
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館・天理市教育委員会との共同展「天理 山の辺の古墳」は、おかげさまで多くのお客様にお越しいただいています。
この展覧会はタイトルの通り、山の辺の道周辺の古墳から出土した重要な遺物を集めたものなのですが、実は今回の企画だからこそ実現した展示が2箇所あります。
まずひとつは、櫛山古墳から出土した腕輪形の石製品です。この古墳は双方中円墳という変わった形の古墳なのですが、1948年に行われた発掘調査でもっと変わったことが分かりました。古墳時代前期の重要な副葬品であった腕輪形の石製品(鍬形石・車輪石・石釧)を小さく割って墳丘に撒いてあったのです。出土した数は250個に上ります。ほとんど接合しないので、割る前にそれだけの個体があったことになります。
天理参考館では櫛山古墳から出土した腕輪形の石製品などを数点所蔵していますが、そのうちの1点が発掘調査の出土品と接合することが、1993年に分かっていました。この機会に是非接合した状態に並べて展示したいと思い、橿原考古学研究所附属博物館から出展いただいて、実現しました。写真の左が天理参考館所蔵品、右が発掘調査出土品です。
もうひとつも腕輪形の石製品です。この展覧会の最後は、天理市ではなく奈良県磯城郡川西町にある、島の山古墳から出土した腕輪形の石製品となっています。この古墳は江戸時代から、腕輪形の石製品が出土することが知られていて、国内各地の博物館やアメリカのメトロポリタン美術館にも所蔵されています。天理参考館でも7点所蔵しています。
1996年に発掘調査が行われ、133点もの腕輪形の石製品が出土しました。その中の1点と天理参考館所蔵の1点が接合することが、2008年に分かっていました。こちらも今回橿原考古学研究所附属博物館から出展いただいて、並べて展示することができました。写真の左上の破片が天理参考館所蔵品、大きい方が発掘調査出土品です。
展示室は輝く三角縁神獣鏡や大きな埴輪など、見どころがいっぱいですが、敢えて担当学芸員の密かなこだわりをお伝えしました。
動物の埴輪も楽しい展覧会です。どうぞお越し下さい。
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考古美術室 F