瀬戸内海西海航路図屏風とその展示期間
2020年10月21日 (水)
創立90周年特別展「大航海時代へ―マルコ・ポーロが開いた世界―」開催に向けての資料調査の課程で、天理図書館にある屏風が90年も所在不明とされていたものであることが判明しました。このことはすでに報道され、ご存知の方も多いかと思います。
天理図書館に蛍光X線分析機器や赤外線カメラを持ち込んで、調査は朝から夕方まで丸一日かけて行いました。屏風を広げて遠くからも観察したり精密な機器を用いたりすることから広い部屋を一室お借りすることになりました。そこは会議室と思われ、椅子や机が端に片付けられていました。趣のある部屋で、ブラインドが下ろされていましたが光はこぼれ落ちていました。
朝の日差し、昼の日差しそして夕方の日差し、普段意識していない光の変化に気づかされました。屏風の色が変化するのです。金色にこれほどバリエーションがあるのかと、驚きました。特に夕日に金も紺も見事に映えました。この時の屏風は忘れられません。屏風を部屋に飾っていた人たちはこのようにして屏風の一日の変化、季節の変化を楽しんでいたのかもしれません。
本展の展示ではできるだけこの夕日を浴びた屏風を実現したく、照明も色温度を調整してそれに近いものにしました。LED照明ですので、こうしたこともできるのです。この屏風は10月21日(水)から11月9日(月)までの期間限定で展示します。それ以降は南蛮屏風が展示される予定です。
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考古美術室 T