ブログ布留川のほとりから

蹴鞠 その1

2020年06月09日 (火)

新型コロナウィルス感染拡大を予防するため、開催を延期しておりました創立90周年記念特別展「スポーツの歴史と文化」がいよいよ6月10日(水)より開幕いたします。
現代のように新記録と勝利を競うグローバル化したスポーツだけではなく、特定の民族や地域に古来伝わるスポーツを紹介する展覧会となっています。
そのなかの【楽しむ】カテゴリーのなかで、「球体の魅力と魔力」として世界のボールゲームを取りあげていますが、今回から連続で蹴鞠についてお話しします。

 

蹴鞠をご覧になったことがあるでしょうか?
8人で鞠を地面に落とさずに、できるだけ長い回数蹴り続ける遊びです。現在、下鴨神社(京都)や談山神社(奈良)、平野神社(滋賀)などで季節に応じて奉納されています。1400年前に中国から日本に伝わったと言われ、中国では軍事訓練の一つでした。

 

日本での「蹴鞠」の初出は『日本書紀』皇極(こうぎょく)天皇3年正月朔日飛鳥の法興寺で「打毱(くぇまり)」がおこなわれ、脱げた中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)の沓を中臣鎌子(なかとみのかまこ)が拾って捧げた、という一節です。
奈良県明日香村の飛鳥寺西芳遺跡(あすかでらせいほういせき)で発見された「槻の木の広場(つきのきのひろば)」跡がここにあたると考えられます。
大化の改新への布石となった有名なエピソードですが、「打毱」がスティックで球を打つポロのような様式であったか、それとも足で蹴るボールゲームだったのかわかっていません。
今日の蹴鞠は優美で、軍事訓練とは結びつきません。一体いつから、なぜ、変わってしまったのでしょうか。

 

続く

 

年中行事絵巻(写)から蹴鞠図 日本 江戸時代末期
創立90周年特別展「スポーツの歴史と文化」にて展示予定

日本民俗室 H 

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