ブログ布留川のほとりから

ボールを手に入れたあなたは幸運です

2020年05月28日 (木)

サッカーやラグビーなどに代表されるボールゲームは、はるか昔から世界各地でおこなわれてきました。サッカーは、比較的難しいルールが少なくてわかりやすく、だれにでも取り組みやすいために、世界中で人気の高いスポーツになっています。

 

サッカーもそうですが、ボールゲームは、元々ボールを奪い合う民俗から始まったものが多く見られます。
日本のお祭りで、厳島神社(広島県)の「玉取祭」では、人間ピラミッドを組んで、神前に吊り下げられた「宝珠」と呼ばれる玉を飛びついて落とします。うまく落として注進所に運んだ人に幸運が約束されます。
筥崎宮(福岡県)の「玉せせり」では二手に分かれた競り子が陰陽2つの木製の玉を奪い合い、1年の吉凶を占います。

 

完全な球体は自然界には「太陽」と「月」しかなく、それを手に入れる(奪う)ことが宇宙を支配することと考えられ、ボールを奪い合う習俗が世界中で見られるのではないかと言われています。

 

イヌイットの人々のボールゲームは、ボールの代わりに、みんながほしがる貴重な品々をおなかに詰めたアザラシを奪い合うものです。みんながあきらめて追いかけてこなくなると、その人が品物ごとアザラシを手に入れることができます。アザラシがそれほど身近で、重要なものだったことがわかります。
後には、アザラシの毛皮でボールをつくってフットボールを楽しみます。なにしろ貴重な品を詰めたアザラシが起源ですから、強く蹴り飛ばすことはせず、ラグビーのように相手ゴールにボールを運ぶやり方です。

アザラシの毛皮ボール アメリカ 20世紀後半
創立90周年特別展「スポーツの歴史と文化」にて展示予定

日本民俗室 H 

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