ブログ布留川のほとりから

サッカーとラグビーの元は同じ

2020年05月21日 (木)

イギリスでフットボールとしておこなわれていたスポーツが、サッカーとラグビーに分裂します。ボールに手を触れてはならないというルールにしたのがサッカー、ボールを手に持ってもいいとしたのがラグビーです。
ラグビーという名前は、ボールを手に持つほうを選んだパブリックスクールのラグビー校に由来します。 

 

サッカーの発祥の地とされるイギリスでは、古くからさまざまなボールゲームを楽しんでいました。
そのなかの一つにフットボールがあります。14世紀頃のフットボールは、お祭りのときに村人総出で楽しんでいました。2つの村が1個のボールを取り合い、相手の村のゴールに入れるといったやり方で、参加者は数百人、ボールは足で蹴るだけでなく抱えて走ることもありました。

 

その後、フットボールはパブリックスクールに持ち込まれます。パブリックスクールごとに参加人数やグラウンドの広さが異なるなど、フットボールはそれぞれ独自に進化していきます。19世紀なかばにはルールを統一しようと試みますがそのたびに対立が起きて失敗に終わります。
パブリックスクールの一つ、イートン校の生徒が、話し合いの席で、ラグビー校の生徒にボールを手で持つことを非難すると、反対にすねを蹴ることをなじられるといった具合です。

 

結局、FA(フットボール・アソシエーション)が、「ボールを持って走ること」、「ボールを運んでいる相手のすねを蹴ること」、「つまずかせること」、「押さえつけること」を禁止する統一ルールをつくったことに反発した人々が、新たにRFU(ラグビーフットボール・ユニオン」を立ち上げて分裂しました。
サッカーとラグビーという2種類のエキサイティングなボールゲームが近代に確立して、それぞれに私たちを楽しませてくれる結果となった幸運な対立だったのかもしれません。

 

村々で奪い合っていたボールは、動物の膀胱をふくらませたものに、破れないよう皮をカバーして補強していたと考えられています。当然真円ではなく、楕円形の、現在のラグビーボールのようなかたちをしています。

動物の膀胱ボール(復元品) 日本 20世紀後半

日本民俗室 H 

ページの先頭へ