第68回企画展「古代東アジアの漆芸」が始まりました。
2013年04月05日 (金)
第68回企画展「古代東アジアの漆芸」の準備がやっとでき、展示開始日にぎりぎり間に合いました。図録もできたのですが、校正が甘くてミスがいくつかありましたが、修正しました。今回は展示品が良いので、モノを見て頂けたら幸いです。
漆は東洋にしかないもので、古い例では9000年前という年代の物が出土していますが、残念ながら当館にはありません。しかし、今回は中国の戦国時代から漢時代、さらに北宋時代のものまで展示してあります。日本のものでは布留遺跡の武器類、元は東大寺にあった伎楽面(ぎがくめん)、牽牛塚(けんごしづか)古墳出土の挟紵棺(きょうちょかん)の断片など見所は沢山あります。
今回の展示で新たにわかったこともいくつかあります。それは楽浪郡(らくろうぐん)出土とされている矢筒の破片です。これは小さな断片ですが、『楽浪』(1930年東京帝国大学出版)にある矢筒の断片の一部であることがわかりました。それは白黒写真なのですが、割れ口の様子からそれとわかります。
楽浪の漆器の耳杯(じはい)にある線刻の紋様は細かくて虫眼鏡を購入してもらったのですが、それでもわかりにくいので写真を拡大し、壁に貼りました。その中には人面有翼動物があります。非常に興味深い世界が広がっています。こうした奇想天外なものは『山海経(せんがいきょう)』に描かれており、その中の「英招」という名前の動物によく似ています。
こうしたものを含めて面白いものが沢山並んでいます。是非見に来て下さい。ただし、伎楽面(乾漆面)は資料の保存の上から時折撤収します。あしからず。展示期間の詳細はウェブサイトの企画展のところを見て下さい。図録は500円となりました。
4月3日にオープンし、読売新聞(4月3日夕刊)に紹介されました。
考古美術室 Y