国立台湾歴史博物館での国際学術シンポジウムと展覧会への協力。
2013年04月02日 (火)
台湾(台南市)の国立台湾歴史博物館特別展「看見平埔(平埔を見つめる)-台湾平埔族の歴史と文化」開催に当たり、天理参考館の資料を貸し出しました。今回はそのオープニングセレモニー(3月22日)及び、関連イベントである国際学術シンポジウム「民族集団の歴史と文化、台湾平埔原住民のアイデンティティ」(21、22日)に参加いたしました。
台湾の先住民グループのうち、西部平野に住んでいる「平埔族」と呼ばれる民族グループは、中国大陸からの移民による漢民族化、キリスト教への改宗、近代化が進み、現在、台湾現地で平埔族独自の伝統的な生活文化資源”もの”を見ることは非常に難しくなっています。当館の平埔族資料は333点を数え、その質量ともに台湾の博物館をも凌ぐ内容となっています。
今回の台湾歴史博物館の特別展開催に際し、当館収蔵の平埔族文化資源23点、絵図・古文書のデータ10点を貸し出しました。当館はこの展覧会の共催館として参加することとなりました。海外の博物館での特別展に共催館として参画し、資料貸し出しを行うのは今回が初めてです。台湾側からみると、国外に流出した文物の里帰り展にもなりました。
近年では平埔族の子孫が、外来の統治者が来る前から台湾に住んでいる存在として、各民族集団の名前を取り戻す運動、文化復興の推進を盛んに行っています。当館の資料がこうした平埔族の記憶を辿り、歴史・文化の掘り起こしに貢献することになるのではないかと思われます。
国際学術シンポジウムでは、当館代表として副館長がオープニングの挨拶を行い、当館学芸員による参考館収蔵の平埔族文物についての研究発表を行いました。台湾の研究者からも当館の資料に関する研究発表がありました。
シンポジウムおよび、オープニングセレモニーにおいても多くの関係者、観覧者が訪れ、台湾での平埔族への関心の高まりを肌で感じることができました。
海外民族室 H