ブログ布留川のほとりから

天理図書館 古典の至宝 二期がはじまります!

2017年10月10日 (火)

10月11日(水)より、天理参考館特別展「天理図書館 古典の至宝」の二期がはじまります。専門家でも研究者でもない私ではございますが、見どころをご紹介したいと思います。

 

二期の見どころは、何と言っても国宝『播磨国風土記』です。
風土記は和銅6年(713)の詔に応え、各国府が山川原野の名称の由来や、古老の旧聞などをまとめた解文(げぶみ)(律令制で、諸官庁から上級官庁あるいは太政官へ上申した公文書)。今日では出雲・肥前など5ヵ国の風土記が伝存するのみで、『播磨国風土記』は霊亀3年(717)以前の成立とされ、地名の伝承記事の宝庫と言われています。二期で展示する本風土記は、平安末期の書写できわめて古く、伝本の来歴を訪ねればすべて本書にたどり着く、唯一の祖本です。住む人々の今を繙く貴重な本であることに感服です。播磨地方の方々がうらやましく思います。より多く兵庫県の皆さまにご見学いただけたらと思います。

 

次の見どころは、今回が初公開の奈良絵本『常磐の嫗(うば)』です。物語は、次の通りです。
「夫に先立たれた常磐の嫗は、老いた身のはかなさをなげき、にわかに発心し念仏を唱える。しかし、唱名の合間には、あらゆるものを欲しがったり、子供に対する不満などを漏らしたり、自らの若い頃を懐かしんだりする。俗念・煩悩に満ちた念仏ではあったが、嫗は念願通り往生を遂げる。」
・・・。まさに人間の真の姿を感じさせる物語です。
奈良絵本は、室町時代中期から江戸時代前期頃までに製作された絵入り彩色本で、特別展各期で8点ずつ展示されます。顔料の剥落などの危険性から、これまで公開が制限されており、今後もこのようなまとまった形での展示の機会はないのではないかとのことです。
もう一つ触れておきたい奈良絵本が『虫妹背物語』です。昆虫同士の恋愛物語で、玉虫、蝉、こおろぎ、キリギリス、ヒグラシといった昆虫が擬人化され、羽織袴や十二単を着ています。虫たちの顔つきがリアルなので、可愛らしさよりもシュールな印象です。

 

まだまだ、個人的な嗜好でもってご紹介したい展示がありますが、本展を間近でご覧いただいて、古典というものを感性で味わってくださればうれしく思います。

 

【特別展ブログ5】

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