「天理参考館の珠玉」にちなみ、鏡の話をします
2016年01月13日 (水)
トーク・サンコーカン「古代の鏡-文様に込められた人々の願い-」
教祖130年祭特別展「天理参考館の珠玉」がオープンして、早くも1週間が経ちました。開催以来、天理教のお節会(おせち)に帰参された方をはじめ、連日大勢の方にお越し頂きまして、たいへん感激しております。
さて、来る1月23日(土)トーク・サンコーカンでは、今回の特別展にちなみ、展示中の資料から日本と中国の鏡を取り上げてお話しさせて頂きますが、今日はその前触れをひとつ・・・。
古今東西を問わず、鏡には不思議な力があると信じられ、今でも鏡にまつわるさまざまな言い伝えが残っています。例えば鏡が割れたり曇ったりすると、不吉なことが起こる前兆とか、手鏡は鏡面を上にして置くとよくないことが起こる、鏡はこの世とあの世をつなぐ扉などなど・・・。
「鏡」に姿が「映る」(光が反射している)という現象は、古くから神秘的なものとして捉えられていました。中国晋代の葛洪(かっこう)は、『抱朴子(ほうぼくし)』のなかで、道士が修行で用いる鏡は径が9寸以上で、その鏡に映せば山に棲む百邪の妖惑を退け、その正体を写し出すと記しています。日本人にとっても、鏡は単なる化粧道具ではなく、人間の魂や霊に関わる不思議な力をもった呪(まじな)いの道具であり、有力者にとっては権力の象徴であり、宝器であったのです。
古代の鏡の背面には、その時々の宗教や思想を反映した様々な文様が描かれ、そこには人々の切なる願いが込められていたのです。 その願いの中身については、当日お話しいたします。
【天理参考館の珠玉ブログ6】
考古美術室 MT