「インドのヒンドゥー世界」展、展示の裏話
2023年08月26日 (土)
「インドのヒンドゥー世界」展は図書2冊以外の99点は全て当館の資料で展示しています。当館の強みは他館から資料を借りることなく、館蔵資料だけで企画を構成できるところにあります。
インドの資料だけでも実は1500点近くあり、その中には残念ながら本展での出品を見送り、お蔵入りのまま眠り続ける資料もあるのです。
本展におけるその選考を満たす基準は、まずはテーマに合致しているもの、類例が多くある場合はより資料情報がある、ないしはより保存状態などが優れたもの、そして展示室またはケースに収まる大きさのものが挙げられます。
その中でも当初は選考から外れていたのですが、晴れて日の目を見た資料があります。手描き更紗の寺院壁掛け「カラムカリ」の2点のうちの1点です。
最大の懸念は資料が大きすぎることでした。縦2.4m、横は5.6mもあるのです。展示ケースには入りません。
さらに「カラムカリ」は2点あり、1点だけ(チラシ、ポスター、図録の表紙にその一部を採用した作品)を出品する予定でした。
その1点だけでもどこにどう展示しようか思案していたところ、普段は展示室の壁の中に収納されているパーテーション(間仕切り)があることに気づき、「カラムカリ」1点を展示してみたところ、おやおや、そのパーテーションの反対側にも展示できるではないか、と気づいたのです。
実は出品するつもりが無かった資料の方が色鮮やかな見た目ではあったのですが、収蔵以降、詳細な情報も無く未調査のままでありました。展示準備中に出品することが決まり、そこから慌てて調査に取り掛かりました。
調べてみると、本展の神様のうち一番資料を出品しているクリシュナ神の生涯の物語、数々の伝説が描かれていました。しかもその内容が非常に面白いのです。危うくなぜ選ばなかったのか後悔するところでした。
さてさて、そのクリシュナ神の物語の続きは9/4閉幕日のマンデートークでご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに。
【第93回企画展ブログ2】
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