近鉄VS京阪「京都駅」争奪戦-マンデートークから-
2023年04月26日 (水)
開催中の第92回企画展「近鉄電車展Ⅱ-大和ゆかりの路線100年-」関連イベントとして乾学芸員が24日にマンデートークを行いました。多数のご参加ありがとうございました。
そのなかの一つに、昭和36年に勃発した近鉄VS京阪の一大路線争奪戦の解説がありました。
大正14年に設立された奈良電気鉄道(以下、奈良電)は、大軌(近鉄の前身)と京阪がほぼ同数の株式を保有して発足した会社です。国鉄奈良線の路線ルート変更に伴い、不要となった線路用地の払い下げを受けて、自前で京都駅への路線を建設します。折しも、昭和3年に開催される御大典を目指して路線敷設工事を急ピッチで進め、同年11月には京都・西大寺間が開業。奈良電は大軌路線に乗り入れます。
その後、路線の地域特性上戦災は免れたものの、戦後の台風被害や労使関係の悪化で奈良電は経営危機に陥ります。
そこで、大株主であった近鉄・京阪双方とも経営の主導権を狙って株式調達を仕掛けます。TOBならぬ水面下での駆け引きもあったようで、昭和36年に近鉄が奈良電保有株の過半数を取得するに至りました。翌年には京阪保有の全株式を譲り受けて奈良電は近鉄の子会社となり、ちょうど60年前の昭和38年に合併されて近鉄京都線となりました。
近鉄にとって、奈良電は東海道新幹線で京都駅に降り立った観光客を奈良に誘導するために絶対手に入れたい路線でした。
もしも京阪が勝利していたら…
現在は、三条に行くのに丹波橋で近鉄から京阪に乗り換えますが、大和西大寺で京阪の出町柳行き特急に乗り継いでいたのかもしれません。
次回の鉄道模型走行実演は4月27日(木)です。平日開催ですが奮ってご参加ください!
【第92回企画展ブログ9】
日本民俗室 H