ブログ布留川のほとりから

第86回企画展「器にみるアンデス世界 ―ペルー北部地域編―」開催中

2021年05月14日 (金)

緊急事態宣言が延長され、新型コロナウイルスの感染が収まる気配は感じられない、先行きの見えない状況に不安を感じていらっしゃる方は多いと思います。東京や大阪の博物館・美術館では臨時休館を余儀なくされていますが、当館では新型コロナウイルス感染対策を講じて414日より本企画展を開催中です。会期の折り返し地点を迎えたのを機に、少しずつ企画展の内容紹介をしていきたいと思います。当館Twitterでは開幕時より随時資料紹介をしていますので、併せてご覧ください。

 

この企画展ではペルー北部地域の土器を展示しています。ペルー北部地域に限定したのは、より深くアンデス世界を知っていただくためです。当館は約400点のアンデス各地の土器を所蔵していますが、すべての地域の土器を展示すると、どうしても網羅的になってしまいます。しかしペルー北部地域に限定することで、展示資料に共通するテーマについても解説することができました。この点については、追々書いていきたいと思います。

 

さて、「アンデス」という言葉、聞いたことがあるけれど具体的にどこを指すの?と思われる方が多いのではないでしょうか。南アメリカ大陸の西側にはアンデス山脈が縦断していますが、アンデス山脈が連なる地域をアンデス地方と言います。現在のコロンビア共和国からチリ共和国の北部までを含みます。しかし、考古学ではより限定された地域を中央アンデス地帯と呼んでいます。それは、現在のペルー共和国とボリビア多民族国家の一部に相当します。中央アンデス地帯の大部分を占めるペルーでつくられた土器を通して、アンデス世界に触れていただきたいということがこの企画展の主旨の一つです。

 

この企画展は、I部:古代アンデスの土器に象られた世界、II部:消費、再生産される古代文化―贋作か、それとも民衆芸術か―、III部:笛吹ボトルで構成しています。全体を通して、インカ帝国以前に様々な古代文化が栄えていたことを知ってもらい、現代ペルー社会においてその古代文化を異なる目的のために利用する人々の逞しさを感じ取ってもらえれば幸いです。

 

地球の反対側のアンデス社会で生活を営んだ人々が創り出したユニークな造形の器には不思議な魅力があります。閉塞感漂う日々が続いておりますが、皆様のお気持ちが少しでもほぐれる場を提供できれば嬉しく思います。

 

 

第86回企画展ブログ1】

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