「絹絵伏羲女媧図」の修復完了と初展示
2020年12月04日 (金)
天理参考館が所蔵する「絹絵伏羲女媧図」(右写真)は、大谷探検隊(第三次探検隊)がトルファン(カラホージャ)滞在中の1912 年にアスターナ古墓群から収集した10 点の伏羲女媧図の内の1 点であると考えられる貴重な資料で、天理参考館所蔵品は日本に将来された伏羲女媧図の中でも保存状態の良い資料として知られています。7世紀中頃(玄奘三蔵の生きていた時代とほぼ同じ)にトルファンで制作された貴重な絵画資料であり、従来から美術史学や考古学分野における重要な研究対象となってきました。
ところが、本資料は当初より紙で裏打ちされた捲り(メクリ・マクリ)の未表装状態で収蔵されており軸装・額装はなされていなかったため、これまで展示を行って展示室においてご覧頂くことは資料保存の観点からも困難でした。そこで、天理参考館創立90周年特別展「大航海時代へ―マルコ・ポーロが開いた世界―」開催をきっかけとして、改めて表装を行って展示が可能となるように修復処置を実施することにいたしました。
2019年12月から愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所にて行われていた修復作業はコロナ禍の関係で若干の遅延が生じたものの、この度無事に修復・額装を終えて「絹絵伏羲女媧図」が当館に戻って参りました。
本日(12月4日)から、創立90周年特別展「大航海時代へ―マルコ・ポーロが開いた世界―」において初公開展示を行っています。
1912年の出土以来、百年以上の時を経ての初めての展示となります。
展示期間は特別展が終了する12月14日(月)までの僅かな期間ですが、非常に貴重な機会となりますので是非とも天理参考館に足をお運びいただき、ご覧いただければ幸いです。
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考古美術室 A