蹴鞠 その3
2020年06月24日 (水)
日本の蹴鞠は、地面で鞠を蹴るパスゲーム形式と前回述べました。
大陸経由の激しいボールの争奪や、打ち込むボールゲームがある一方で、東アジアや東南アジア文化圏では、古来何かを蹴る遊び(キッキングゲーム)が盛んでした。長く蹴り続けるのを楽しむ点が共通しています。
中国の「ジェンズ」や韓国の「チェギ」がそれに当たりますが、ボールではなく羽根を蹴ります。
「ジェンズ」は金属製のおもりに羽根をつけたもので足先や甲、かかと、膝などを使って蹴り上げ、その回数を競います。
明の時代に子どもの遊びの一つとして紹介されています。
その流れからか、中国では1963年に小学校の体育の教材に取り入れられました。
現代では子どもだけでなく、大人も楽しむスポーツとなって、「セパタクロー」のようにチームを組んでネットをはさんで対戦します。
「チェギ」は穴の開いた小銭にニワトリの羽根をさし、小銭の部分をきれいな布で包んでつくった球のことです。サッカーのリフティングのように、地面に落とさないで蹴り続ける点は、日本の蹴鞠と同じです。「チェギチャギ(羽根蹴り)」は正月の遊びで、日本の正月の遊び「羽根付き」が羽子板で羽根を落とさないように打ち合うのと類似点が多く、興味深いです。
ペルシア発の、騎馬民族を経由したボールゲームがポロ形式で、農耕民族は、蹴り続けるパス形式を好んだのかもしれません。
続く
日本民俗室 H