天理参考館報 第37号
A4版・カラー図版2P・モノクロ71P、税抜き500円
2024.10発行
頒価:550円
(学)天理大学出版部
天理参考館報 第37号(ファイル名:sankokanpo37.pdf/ファイルサイズ:22.6MB)
I 論文・研究ノート
※タイトルをクリックすると天理大学 学術情報リポジトリへリンクし、各論文のpdfが閲覧可能です。
岸本五兵衛に関する覚書(その2)―趣味家たちとの交流とコレクション―……中尾 徳仁
当館が所蔵する海外民族資料(約3万点)の1割強を占めるのが、岸本五兵衛蒐集による「子壽里庫(ねずりこ)コレクション」である。岸本は大阪で汽船会社を家業とする岸本家に生まれ、家督相続後は金融業・製造業・保険業等さまざまな分野に投資を行いつつ、国内外の郷土玩具や海外の民俗資料を蒐集した。本稿では岸本と親交の深かった趣味家の中から6名を挙げ、彼らのプロフィールと岸本との交流、および関連資料について紹介する。
食習慣と和食文化継承についての考察-第94回企画展来館者による食習慣調査を通して-……幡鎌 真理
令和5年度に当館で開催した第94回企画展「くらしの道具-今昔モノがたり-」期間中に、来館者を対象に食習慣に関係するアンケートを実施した。本展における食に関する資料点数が多かったことと、伝統的に継承されてきた和食文化の変容が関連する道具類に及ぼす影響を日本民俗の視点から解明するためである。年中行事のなかでもなじみ深い正月の雑煮を餅の形状と汁の仕立て方の関係性や具材の種類に着目して地域差を比較するなど、複数の項目の回答とそこから見えてきた問題点を考察した。
鉄器時代のテル・ゼロールにおける埋葬習慣―墓域出土のランプを通して―……間舎 裕生
天理参考館はテル・ゼロール出土資料の一部を所蔵しているが、その中で鉄器時代に属する墓域出土の土製ランプは特異な形状をしている。さらに、それらランプは棺内で鉢や「カップ・アンド・ソーサー」と呼ばれる土器と近接して出土する傾向が認められた。本稿ではランプの形状、「ランプと鉢」という組み合わせ、カップ・アンド・ソーサーの機能という点から、鉄器時代のテル・ゼロールにおける埋葬習慣について考察を加えた。
中国大陸の古代熨斗(三)─地域性と熨人熨斗の明器化、三国~西晋時期─……江 介也
前号につづく中国大陸の熨斗についての論考で、今回は三国・西晋時代を対象としたもの。熨斗型式を北方と南方に分け把握し、柄頭龍頭のB類が南方に顕著なことや、江蘇北部・山東南部は南北両地区の型式が並存し、両地区の中間地域としての地域特性を反映していることなど、型式分布にみえる地域性を明らかにした。また熨人熨斗の漢~曹魏の実用品の変遷から、その陶製明器化後の型式分化までを整理し、歴史的背景を多角的に考察した。
〔研究メモ〕ファレーラと無脚雲珠には関係があるのか?……巽 善信
通常の雲珠との異質性が指摘されている無脚雲珠は、その起源を中国北朝に求める説がある。しかし北朝独自のものかどうかは検証されていない。筆者は西方の馬具であるファレーラが北方民族の北朝にもたらされ、影響を与えたのではないかと考えている。推測の域をでないが、今後の研究課題としたい。
II 事業概要
1 展観
(1)企画展・巡回展 (2)天理ギャラリー展 (3)その他の展覧会
2 調査研究
(1)海外民族室 (2)日本民俗室 (3)交通文化室 (4)考古美術室
3 資料収集・保存
(1)収蔵資料概要 (2)新収蔵資料
4 普及活動
(1)入館者数 (2)トーク・サンコーカン(公開講演会) (3)連続講座 世界遺産を巡る古代アンデス史入門(公開講演会) (4)ワークショップ (5)マンデートーク (6)ミュージアムコンサート「参考館メロディユー」 (7)その他のイベント 天理教こどもおぢばがえり