日本では昭和30年代に農業の機械化が進んだといわれています。米作りはその著しい例でしょう。田起こし、苗代つくり、代かき、田植え、除草、水管理、稲刈り、脱穀、選別、籾(もみ)すり、精白というそれぞれの段階で機械化農具が取り入れられてきました。 この農具は唐箕といい、日本には古く江戸初期に登場したといわれていますが広く普及するのは時代が下がり明治大正頃以降のようです。奈良県平野部の農家で明治から昭和38年まで使われていました。左上の漏斗(ろうと)の口から脱穀した籾を入れながら、右のハンドルを回して起こした風の力で、籾とゴミや、籾すりによって分けた玄米と籾殻との選別(風選)を行いました。大阪・農人橋にあった「京屋」という農具製造者の銘が入っています。