双六(すごろく)はサイコロを振り、出た目の分だけ駒を進め、先に上がるのを競うボードゲームです。お正月に家族や友人と遊んだ記憶がある方は多いことでしょう。実は、この双六には大きく分けて2種類あります。絵が描かれた盤上にマス目があって、複数のプレーヤーが同じスタート地点から上がりを目指すものは「絵双六」と呼ばれます。一方、2人のプレーヤーが白い石を使う者と、黒い石を使う者に分かれて、手持ちの15枚の駒をどちらが先にゴールさせるかを競うものは「盤双六」といいます。歴史的には後者の方が圧倒的に古く、今から5000年以上前の古代エジプトで興じられていた「セネト」というボードゲームがそのルーツではないかという説があります。
このターウィラも盤双六の一種で、1959年にエジプトの首都カイロで収集したものです。ターウィラという名前はアラビア語の呼称で、世界的にはバックギャモンの名でよく知られています。サイコロの出目という偶然の要素が大きく勝敗を左右しますが、その一方で自分の駒をいかに早く進め、相手を封じ込めるかという戦略も考える必要があります。例えば、相手の駒が2つ以上存在する場所に、自分の駒を進めることは出来ないというルールや、相手の駒が1つ存在する場所に、自分の駒を進めると、相手の駒を一時的にゲームから追い出すことが出来るというルールがあります。
盤双六は7世紀に日本へもたらされたと考えられています。のめりこんでしまう貴族は少なくなかったようで、持統天皇が双六禁止令を出した記録も残されています。古い時代から人々を熱狂させ、今も子どもから大人まで楽しませている双六は、普遍的な魅力を備えた遊戯と言っても過言ではないでしょう。