天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化弦楽器“ヴィーナ”(げんがっき“ヴィーナ”)

vina

vina

インド タミールナドゥ州 20世紀中頃
全長115.0cm
資料番号:2003E21

展示中 1-7

ヴィーナとはインド古典音楽に用いられる弦楽器の総称です。この楽器は南インドに見られる弦を弾いて演奏する發弦(はつげん)楽器で、子ども用です。棹には、中身を空洞にしたカボチャの共鳴器が取り付けられています。カボチャの表面に彩色が施されていますが、製作から年数が経っていて、その剥落も目立ちます。弦はエナメル製の7本からなり、棹の上に旋律弦の4本が張られています。フレットの数は24個で、棹の上部裏側には、龍の頭が装飾されています。
演奏法は、以前は肩に棹部の共鳴器を乗せ、楽器を起こして演奏していたと言われていますが、現在の演奏者は、あぐらをかく姿勢で床に座り、胴部を右膝横の地面に置き、棹部の共鳴器を左膝上に乗せて演奏することが多いようです。右手の中指と人差し指に金属製の義爪をはめて弦を弾きます。
ヴィーナは、古代インドの神話に登場する女神、サラスヴァティーが演奏する聖なる楽器としても知られています。サラスヴァティーは、ヒンドゥー教の三大神、ブラフマーの妻で、学問・知恵・音楽などの女神です。宗教画や彫刻に見られるサラスヴァティーの姿は四本の腕をもちます。一対の腕には数珠と教典を持ち、もう一対の腕でこのヴィーナを奏でます。 サラスヴァティーへの信仰は、仏教の教えに取り込まれたのちに日本へと渡りました。日本では、七福神の一柱、弁才天として広く親しまれ、演奏する楽器はヴィーナに替わり、琵琶を持った姿で表されます。