明治時代初め、絵師達にとって最も魅力ある画題のひとつとして、新東京のあちこちに建てられた西洋風の建物や新奇な乗物のたぐいが描かれるようになりました。
この絵にも築地居留地(つきじきょりゅうち)に竣工した5階建てのホテル館や馬車、人力車、自転車、そして蒸気機関車などの新しい乗物が色とりどりに描かれ、賑わいを見せています。また、沖合には西洋帆船や外輪船に加え、風船(気球)も描かれています。
制作された明治3年頃は、まだ日本に鉄道はなく、どうやら芳虎は書籍の挿絵や伝聞などをもとにアメリカで走っていた蒸気機関車をモデルに描いたと考えられますが、当時の東京における通行の様子をかいまみることがきます。