薬箱(くすりばこ)

薬箱
くすりばこ

これは医師が往診先に持って行く薬箱です。各種薬を入れ、このような箱に収めて携帯しました。薬箱の形や構造は様々あり、数段の抜き引き出し式のものや、重箱式、小さな引き出しが数列数段連なった百味箪笥などもあります。本資料は両方から引き出せる抜き引き出しで、かつ被せ蓋が付いたものとなっています。
医師の風格を表すように細工や意匠に凝り、このように金唐革紙を貼るなど工芸品として美術的価値のあるものも多く見られました。蒔絵など意匠が施された印籠に通じる一面があり、薬籠とも呼ばれます。江戸時代後期に刊行された『守貞謾稿』(喜田川守貞 編)には「医者、病気に携え往く薬種数十品を納めたる重ね箱、あるいは引き出し箱の類を今は薬籠という。これにはやろうとは言わず、薬籠、あるいは薬箱と言うなり」との記述があり、このころ薬籠、薬箱という名称が並存して使われていたことがわかります。上段には瓶の痕が見られるため、蘭方医が使用したとも考えられます。金唐革は16世紀初めにイタリアで生まれ、17世紀にオランダの特産となった非常に高価なもので、日本では西洋趣味の流行とともに、煙草入れなどさまざま使用されて人気を博しました。

日本 江戸~明治
高28.5cm
資料番号:2025J1

展示中 1-0
ページの先頭へ