天理参考館には17世紀前半に朝鮮王朝の宮中で行われていた山臺都監戯（サンデトカムノリ）に使用されたとの痕跡を示す瓢（パガジ）製の古面21点が収蔵されています。 これらの仮面の大半が口を大きく開けて作られており、演者の声が遠くの観客にまでよく伝わるように工夫されているのが特徴です。その中で黒い面相をしたこの老僧面の下顎の楕円板に、「天啓四年月日宮内山臺」という銘が記されています。天啓四年とは西暦1624年にあたり、記録上記されている山臺都監戯が宮中で採用されていた時期と符合するわけです。しかし、資料収集に関わる詳細な記録を欠く現状においては、この時代の仮面だと特定するわけにはいかないと考えています。