現在のペルー・ボリビア・コロンビアを含む中央アンデス地域は、紀元前の古い時代から高い文明を育んできました。これらの地域から、埋葬者の着衣としてミイラとともに発掘される染色品の多くは美しい織物として知られています。この袋はコカの葉(コカインの原料)を持ち歩くための袋と思われます。袋・紐・提げ飾りなどにさまざまな織り技法が使い分けられています。天然染料による色合いは、700年経過した今尚鮮明で、当時の染織技術の高さを窺い知ることができます。コカの葉は気象条件の厳しい高地で暮らす人々にとって、気分を和らげる嗜好品として今も用いられています。