イスラム教スーフィ派の托鉢僧「ダルヴィーシュ」の持ち物で、施しを受けたり、食物を盛ったりするために使う容器です。黄銅で作られた鎖部分を肩にかけて持ち歩きます。鉢部分はフタゴヤシの実の殻で造られ、表面には草花とアラビア文字を組み合わせた文様等が彫刻されています。また、縁の部分には鳥の頭部がデザインされています。鉢の一端には小さな孔があり、そこから液体を注ぐことができる構造になっています。
ダルヴィーシュは神と一体になることを最終目的として、禁欲的な生活をしながら厳しい修行を続けます。導師の指導の下で決められた修行を段階的にこなし、一心に神の事だけを考え、悟りが訪れるのを待ちます。悟りの境地に至った者は聖者となり、時には崇拝の対象となることもありました。なお、彼らがかつて羊毛(スーフ)で織った衣服を着ていたことから、「スーフィ派」という呼称が生まれたとされます。