天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化カーリー女神像(カーリーめがみぞう)

インド
20世紀前半
高25.5㎝ 木製
資料番号:7589

展示中 1-0

カーリー女神はヒンズー教の神で、世界の破壊・再生を司るシヴァの配偶神、パールヴァティーの化身といわれています。カーリーとは「黒」、「時間」を意味するカーラーを語源としています。柔和なパールヴァティーに対し、凶暴な性格を持つカーリーは血を好み、破壊と殺戮の象徴とみなされています。
神像や図像に表されるカーリーは、語源の通り黒い肌で、四本の手があり、首には仕留めた生首の首飾りをかけています。目は見開き、口も開いて長い舌を出しています。加えて本例のように夫であるシヴァ神の腹の上に立つ姿で表されることもあります。
さて、なぜカーリーはシヴァの上に立って(踏みつけて)いるのでしょうか。諸説ありますが、一説には夫であるシヴァをも超える力を持っていることを象徴しているといわれています。
一方で次のようなユニークな説もあります。ある時カーリーは魔物を倒し、その血を飲むと、酔っ払い、大地を踏み鳴らして踊り狂いました。そのせいで、世界は震動し、壊れそうになったといいます。他の神ではカーリーを抑えることができず、ついには夫のシヴァが地面に横たわり、カーリーの足下で下敷きになることで、ようやくカーリーは我に返ったといいます。さらには、カーリーは夫を踏みつけてしまい、「あら、ごめんなさい」とばかりに舌をペロッと出したというオチまでついた逸話が語られています。
カーリーはその恐ろしい様相にも関わらず、あらゆる悪を取り払い、帰依者を深い愛情で包んでくれる女神として、インド、ベンガル地方などで多くの信仰を集めています。