太平洋沿岸地域を居住域とするトリンギットの人々は、日常生活において、かごを多く用いていました。かご細工はこの地域特有のもので、実に精巧に作られています。それを編むために用いられる技術も多種多様です。本例は唐桧の根の裂片を主材料とし、色染めしたフサガヤ、ライムギ等の割茎で幾何学文様を作っています。食物を水と共に入れ、焼け石を投入することによって調理する、いわゆる焼石クッキング用のもので、水も漏らさぬ緻密なかごです。焼石1個でも強烈な熱を発するので、1ダースばかり石を使えば、料理はすぐにできあがるといいます。