金製頭飾り(人面形)(きんせいあたまかざり(じんめんけい))

金製頭飾り(人面形)
きんせいあたまかざり(じんめんけい)

本例はインカ帝国期に使用された金製の頭飾りで、4本の羽根飾りを付けた人物の頭部を象っています。これらの類例はボリビアで4点確認されており、ティティカカ湖沿岸から持ち込まれたものであることが明らかにされています。したがって本例もインカ帝国の支配のもと、ティティカカ湖沿岸で製作された可能性が高いと考えられます。
一方で類例との相違点も見られます。類例は頭部の外形を象っただけのものですが、本例は打ちだし技法で顔のパーツが表現されています。とりわけ左の資料は、目と鼻と口が明瞭な浅浮き彫りで表現されています。なお目のように見える緑色の石は珪孔雀石(クリソコラ)であると考えていますが、これは製作当時のものではなく、現代においてつけられたと推定しています。そしてこの目は、鉢巻状の織物に頭飾りを縫い付けるための穴を利用してつけられています。
穴は頭飾り下方の中央部分に4カ所あけられ、方形の角にくるように配置されています。ここに糸を通して鉢巻状の織物に縫い付けて頭に被った様子が、クロニカと呼ばれる年代記の挿絵にも描かれています。頭飾りの形はさまざまですが、取り付け用の穴を4カ所あけることはすべてに共通しています。
ではこのような頭飾りを身に着けていたのはどのような人物だったのでしょうか。インカ帝国では金は太陽の汗、銀は月の涙と表現され、金は男性、銀は女性と結び付けられていました。また金と銀、あるいはそれらと銅との合金は、インカ王の子孫であるインカ王族にのみ相続することが許されたものでした。したがってこの頭飾りは、ティティカカ湖沿岸およびボリビア周辺に領地をもっていたインカ王族の男性に相続されたものであると考えられます。彼らは自分たちの権威を誇示するために、公の場や祭礼などでこの頭飾りをつけたのでしょう。

推/ボリビア
インカ帝国期 推/1430年頃~1550年頃
左:高18.2cm 幅17.0cm
右:高17.8cm 幅16.2cm
資料番号:66-1357(左)、66-1356(右)

展示中 1-0
ページの先頭へ