イギリスの正式な国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」といい、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドによって構成されています。北アイルランド以外の3つの地域は、グレートブリテン島に同居しており、そのうち北部に位置するのがスコットランドです。芳醇なウイスキーの産地として知られ、ゴルフ発祥の地とも呼ばれています。
ここではスコットランドの民族衣装、ハイランド・ドレスを紹介します。ハイランドとはスコットランド北部の高地地方を差し、かつてこの地方の戦士が着ていた戦闘服がルーツとなっています。この地方では岩場や水辺が戦場となることが多かったため、戦士は動きやすさを考慮して、キルトと呼ばれる脚をむき出しにしたミニスカートのような衣装をまとっていました。正面から見ると平らなように見えますが、後ろにはプリーツ(ひだ)が入っていて、脚を大きく前後に動かすことが出来る工夫がなされています。ちなみに、キルトにはポケットがありませんので、腰からスポランと呼ばれるカバンを提げます。
キルトに見られるチェック模様は、タータンといいます。かつて、この模様は氏族によってそれぞれ異なる色と柄の組み合わせが使用され、他の氏族との差別化が図られていました。つまり、日本の家紋に相当するものがタータンといえるでしょうか。現在ではファッションの定番デザインとして、タータンに由来するチェック模様は世界中で愛好されています。
そもそもスコットランドは独立したひとつの国でした。1700年にイングランドと合同して以降はイギリスの一構成国となっていますが、現在もスコットランドに暮らす人々は「スコットランド人」としての誇りを持ち続けています。その民族意識の象徴的なアイテムがハイランド・ドレスであり、スコットランドの街角ではこの衣装をまとい、バグパイプを演奏するストリート・パフォーマンスがよく見られます。