象の頭をし、腕は4本、太鼓腹でユーモラスな姿をしたヒンズー教の神さま、ガネーシャの座像です。世界の破壊を司るといわれるシヴァの息子であり、ガネーシャはインド全国で広く親しまれている神さまです。日本でも民族雑貨屋、インド料理屋などで、この神さまの姿を目にする機会があるかも知れません。障害・災厄を除去する神、智慧と学問の神、近年では商売繁盛の神として、その御利益は非常に多岐に亘ります。
インドの神さまはヴァーハナと呼ばれる動物の乗り物に乗りますが、ガネーシャは自分よりも小さなネズミを乗り物とし、器用に操るといいます。
ところで、どうして象の頭をした神さまなのか。ガネーシャ誕生には以下のような神話が残されています。
シヴァの妻、パールヴァティーは自分の身体の垢(あか)で男の像を形作り、そこへ命を吹き込みガネーシャを誕生させた。早速、沐浴の際の見張り、門番として、ガネーシャに命令を下した。そこへ家へ帰ってきたシヴァだが、当然見知らぬ者であるガネーシャと押し問答になり、シヴァはガネーシャの首を切り落とした。それを知ったパールヴァティーは激怒し、困ったシヴァは、部下に命令を出し、最初に出逢った生き物の首を持ってくるように命じた。部下が最初に出逢ったのは片方の牙が折れた象であった。頭が象として生き返ったガネーシャは、シヴァファミリーの長男として即位することになったのである。
(参考:長谷川明1987年『インド神話入門』新潮社 他)