長寿の祝いに贈られた帳(とばり)です。昔から長命は全ての人々にとって切なる願いでした。長命にあやかりたいとの思いで、長命を寿ぐ節々の祝い日(60の下寿・70の中寿・80の上寿など)に、吉祥の図柄や字句で埋め尽くした“帳(とばり)”を贈る習わしがありました。
図柄に見える「鴛鴦(おしどり)」は夫婦和合を、「花瓶」は瓶が平に同音であるところから平和を、「蓮花」は花の中の君子に例えられています。また実と花が同時に生じることから「連続して生まれる」という意味に転訛し、子孫繁栄のめでたい文様といわれています。上部から垂らした2本の風帯には、長寿を祝う「頌献九如」「畴陳五福」という言葉が表されています。