天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の生活文化黄楊製の風俗人形「楽器の演奏」(つげせいのふうぞくにんぎょう「がっきのえんそう」)

中国 上海市徐家匯土山湾
1930年
チャルメラを吹く人物の高8.5㎝ 黄楊製
資料番号:385

展示中 1-0

当館には中国の風俗を題材にした人形が多数収蔵されています。本品は細工に適した黄楊(つげ)材で精緻(せいち)に作られた風俗人形で、銅鑼(どら)・シンバル・太鼓など数種の楽器を演奏する場面を表現しています。
人形は黄楊でつくられていますが、太鼓を叩くバチは細い竹ひご、銅鑼のかけひもは糸など、黄楊以外の素材も使用されています。また、人物の顔には目などが筆で描かれ、とても表情が豊かです。
黄楊製の風俗人形は全部で108点あり、ジャンルは多岐にわたっています。その大部分を占めるのが庶民の風俗を表現したもので、商売(露天床屋、辻占い、西瓜売り等)や農業・漁業(豚を追う、脱穀、網で魚を捕る等)、街頭の風景(洗濯、凧あげ、母子の散歩等)などがあります。
その他に、民話や芝居に出てくる想像上の人物をかたどったものや、故事成語(こじせいご)を題材としたもの、例えばカラス貝に嘴(くちばし)を挟まれた鴫(しぎ)と漁師を配した「漁夫(ぎょふ)の利」等があります。
人形は全て板状の台に乗せられています。台は3㎝四方のものから8㎝四方の大きなものまであり、1枚の台に多人数が乗るものや、人物以外に牛や豚などの動物をかたどった作品も見られます。人形には、黄楊材以外に糸や布、紙、綿、竹ひご等も適宜使用されています。
これらは、当館創設者である天理教二代真柱・中山正善氏が、1930年に上海市徐家匯(じょかかい)土山湾にあったカトリック修道院を訪れた際に買い求められたものです。修道院内には附属の孤児院があり、孤児に学校教育を受けさせると共に職業訓練を施しました。孤児院の工房では、主に各地教会で必要とされる日用品や外国人向けの土産品等を制作し、販売していました。これらに黄楊製の風俗人形が含まれていたそうです。