中国にはさまざまな形の凧(たこ)がありますが、その中には複数の凧を繋(つな)げて揚げる連凧(れんだこ:ムカデ凧)も含まれます。 ムカデ凧には、同形の凧を繋いだものと、異なる形状の凧を繋いだものがあります。前者は雁(がん)や魚等の形をした複数の凧を、糸で連結して揚げます。後者は頭部の凧と腹部の凧(場合によっては尾部もあります)に分かれており、部位ごとに凧の形状や大きさ等が異なります。一般的には頭部の凧1体に対し、腹部の凧が複数体連なることが多いです。長いものは全長が数十メートルに達します。 ムカデ凧は中国の多くの地域で見られますが、その中でも龍の頭を付けた「龍頭ムカデ」は濰坊を代表する凧のひとつです。特に頭部の制作には、職人の熟練した技術が求められます。 本品の頭部の骨組には竹、膜には化学繊維(せんい)が使用されています。さらに、眼には発泡スチロールと厚紙、歯には発泡スチロール、その他にも樹脂や針金など、さまざまな素材が用いられています。腹部の骨組も竹、膜には化学繊維が使用され、左右にある竹ひごの両端には羽毛の装飾が付いています。 この凧の揚げ方は以下の通りです。まず腹部最後尾に別の凧を繋ぎます。その凧を揚げると、繋いだ糸に引かれて腹部、頭部の順に上空へと揚がっていきます。2枚目の写真は、本品とは別の龍頭ムカデ凧を揚げた様子です。写真右上に見える小さな凧と繋いだ糸によって牽引(けんいん)され、腹部から順に上空へ揚がっていく姿が見てとれます。