5世紀終り頃の小円墳から出土した馬形埴輪です。かなりの部分を欠いていますが全体の分かる希少な例です。細部まで比較的丁寧に表現されていて、鞍部には革製の鞍褥(くらじき)を置いていた様子がわかります。この鞍の両側には粘土板で縁取りされた四角い板が吊るされていますが、これは障泥(あおり)とよばれる泥除けで、その上には鞍から垂らされた円形の鐙(あぶみ)が表されています。
一般に馬形埴輪は実用の馬よりも、儀式などのために飾りたてられた馬の姿を表したものが多く出土しています。本例も胸繋(むながい)に馬鈴が付けられ、尻繋(しりがい)からは五鈴杏葉(ごれいぎょうよう)が両側と尻側に垂らされていて、飾馬の姿を写したものであることがわかります。口元には銜(はみ)がはずれないように固定するための環状の鏡板(かがみいた)が表現されていますが、これも鈴で飾られています。