須恵器は古墳時代中期に朝鮮半島から日本に入ってきた、堅く焼き締まって灰色を呈する焼き物です。それまで使われていた土器類より非常に硬質で水漏れしにくく、摩滅しない便利な性質を持っています。製作には特殊な技術が必要なため、はじめは副葬専用の上等な土器として扱われ、日常には用いられませんでした。装飾付須恵器は、副葬用の須恵器のなかでも特別なもので、ふつうの大きさの土器に小型土器を貼り付けたものや、様々な小像を貼り付けたもの、その両方を貼り付けたものがあり、全国で約600例が知られます。本例は壺の肩部に小型の壺と小像が貼り付けられています。小像は、馬に乗った人、小鳥、獣です。壺の下には脚台がありましたが現在は失われています。