蓋の付く小型の容器を盒子と呼んでいます。平面形が円形のものと楕円形のものがあります。古墳時代には石でつくられた盒子が古墳に副葬されるようになります。古墳時代前期から中期にみられますが、緑色をした碧玉や淡緑色の緑色凝灰岩、滑石などでつくられました。これまでに60例前後が確認されています。このほか、土製のものも出土しています。もともと木製のものがあり、それを古墳の副葬用に石で写したものと考えられています。その分布は近畿地方を中心とし、東は愛知県から西は岡山県に及びます。
本例は小型の緑色凝灰岩でつくられた円形の盒子です。身の上端付近には身と蓋を結わえるための孔が対向する位置に1個ずつ開けられています。体部には斜方向の刻線が2段に施されています。蓋は笠形をしていて、身の下端には縦方向の刻み目をつけています。縁辺部の大部分は復元されたものですが、本来、蓋の縁辺にも身の孔に対応する位置に孔が開けられていたと思われるので、ここに孔が復元されています。