からだが円形の文様で埋めつくされ、まるで銭を並べているように見えることから「連銭馬」と呼ばれています。白い斑点のある栗毛の馬がモデルでしょう。まずからだ全体にセピア色の土をかけ、和銭文のところだけを丸くふき取って白い土で連銭文を描き、最後にその上から無色透明の釉薬(うわぐすり)をかけるという独特の技法を用いています。唐三彩の一般的な技法は、白い地の上に緑色や褐色の釉薬をかけ、さらにその上に無色透明の釉薬をかけるというものですが、それとは大きく異なる技法です。一方、顔や鞍の部分は一般的な唐三彩の技法を用いています。品格のある姿かたちだけでなく、馬具の表現も見事で、唐三彩の馬の中でも傑出した名品です。