酒入れ。酒を入れ、火にかけて酒を暖める器です。もとは青銅器に原形があり、それを焼き物にうつしたものです。脚には獣の顔が表現され、笠形の蓋には螺旋状の突起が3つ貼りつけられています。蓋と身には、それぞれ2条ずつの菱形文の帯があります。全体に褐色の釉薬(うわぐすり)をかけ、文様帯には緑色の釉薬をかけたようですが、厳密にはかけ分けられていません。さらに蓋の外縁には緑色の釉薬で龍と思われる文様を描いています。漢時代には褐色釉や緑色釉をかけた陶器は盛んに作られますが、このように2色をかけ分ける例は珍しいものです。漢時代の釉薬をかけた陶器は、低温で焼かれていて軟らかく、実用に耐えない副葬専用品だったと考えられています。