1884年にヴィルヘルム・デルプフェルト(1853-1940年)が作成したティリンス遺跡の平面図です。彼はドイツの考古学者で、層位学的発掘と図面記録の先駆者です。考古学が産声を上げて間もない時期でのこの正確な図面は、驚異的としか言いようがありません。発掘後の1884年8月に、シュリーマンはポーランドで催されたドイツ人類学協会でティリンスの発掘報告を行っています。そこで彼の見事な図面は注目の的となりました。
その優れた人材を早くから見いだしたのが、他ならぬシュリーマンでした。デルプフェルトは29歳の時にトロイ発掘に加わり、2年後にはシュリーマンとともにティリンス遺跡を発掘しています。シュリーマンの最大の発見はトロイではなく、デルプフェルトだったと言う研究者もいるほどで、その評価はこの図面を見れば分かります。