大理石などの色石やガラスなどを立方体状に切った小片(テッセラ)を、構図に合わせて配置して、文様を描く技法をモザイクと呼びます。建築の床面や街路面などの装飾として、ヘレニズム時代から盛んに用いられるようになります。
本例はビザンティン時代に作られた、シリアの床面モザイクの一部です。髭をはやした男性の顔を、アカンサスの葉が囲んでいる構図となっています。モザイク画の縁に、アカンサスや月桂樹などの植物文様帯を巡らすことがあります。本例もアカンサス文様帯の断片で、四隅か中央部に配され、アカンサスの蔓(つる)の出発点となっていたと考えられます。