金銅製の金具4片を、径約16cmの細長い鐶帯に打ち付け、冠として復元したものです。前面の相向う1組を額前の立飾と見なし、もう1組をその左右の飾りとしています。前面の金具は縦長、左右の金具は横長で、形こそ異なりますが、両者とも器面に異形の透孔を穿ち、唐草風の列点文を巡らします。とりわけ左右の金具に見られるパルメット文が印象的です。
冠として復元されていますが、新羅の出字形や加耶の草花形とは異なります。高句麗式でしょうか。裏面は緑青で覆われていますが、目の細かな布の断片が部分的に癒着しており、元来は布を介して木製の部位に取り付けられていた金具の一種であろうと思われます。文様から六朝後半の作品と考えてよいでしょう。