どの国の歴史にも黄金時代があり、朝鮮半島では、さしずめ三国時代がそれにあたります。なかでも新羅は金に対する嗜好性が一番強い国のように思われます。それは王族墓から金銀まばゆいばかりの冠・耳飾・腰佩・履などの装身具が多数出土するからです。
金に魅了されたのは新羅だけでなく隣接する加耶諸国も同様です。2対の耳飾のうち、右側の資料は、大きな細環に小さな遊環を介して細長い垂飾を吊るしています。垂飾はソロバン玉に似た空玉3個を兵庫鎖で連結し、下端に流涙形の金板をぶら下げます。細金細工(filigree)の粋を凝らした金製耳飾は、古代朝鮮半島における工芸技術の高さを物語る絶好の遺品と言えるでしょう。