『三国史記』に見える新羅の楽器は、三弦・三竹・拍板・太鼓の4種類です。三弦とは玄琴・加耶琴・琵琶のことであり、三竹とは大笒、中笒、小笒のことです。三竹の笒とは清孔があり、竹紙をはって膜孔を施した横笛で、楽器分類学上、膜鳴楽器に属します。
本館所蔵の横笛は陶製で、中空の管に吹口と指孔をもちますが、清孔はありません。吹口に近い方が先端部よりもわずかに太く作られ、環状の吊り手がつきます。器面には統一新羅時代に盛用された花文が手描きされ、往時の華やかな雰囲気を醸し出しています。小倉コレクションに類品1点を見い出すだけの珍しいものです。これらは律令体制に組み込まれた新羅楽人の墳墓に副葬された明器の一種でしょう。