大がめ。儀式のときに酒や水を入れて据え置いた大がめです。左右に非常に大きな把手があり、その先端には鹿に似た動物の頭部が表されています。肩のところには鱗を並べたような文様(鱗文)がめぐり、その上には後ろを振り返った龍の文様(夔龍文)がめぐっています。また胴部には、1対の龍を向かい合わせにして三角形に押し込めた文様(変相夔文)を並べています。いずれの文様も退化が進んでいて、一見それとは分からないものばかりです。さてこの青銅器は、器形やさびの特徴が黄河流域のいわゆる中原(中国文化の中心地)のものとは異なります。長江中下流域の出土ではないかと考えられています。