天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術布留遺跡の祭場出土土器と玉類(ふるいせきのさいじょうしゅつどどきとたまるい)

奈良県天理市布留遺跡布留(堂垣内)地区出土 5世紀 手前の二重口縁壺の口径9.0cm
資料番号:

展示中 1-0

布留遺跡は奈良盆地東部に位置していて、布留川を挟んだ東西約2km、南北約2kmにおよぶ大きな遺跡です。天理参考館はこの遺跡の中に位置しています。
特にこの地域は古墳時代を中心とした時期に栄えました。遺跡の東には石上神宮が鎮座しますが、日本書紀によれば、古くから物部氏が石上神宮を祭ってきたとされています。この石上神宮は神剣フツノミタマを祭神とし、大量の武器がおさめられていて、王権の武器庫としての役割も担っていました。物部氏は祭祀を司るとともに、軍事氏族としての一面も有していたことがわかります。 実は布留遺跡は、この物部氏が本拠を置いた集落遺跡で、これまでの調査で祭りや軍事との関わりを示す数々の資料が出土しています。
写真は布留(堂垣内)地区の古墳時代の祭場から出土した土器や玉類です。場所は布留川の北に位置しますが、ここでは河原石を敷いて、多数の土器が置かれていました。土器や石敷の間からは、非常にたくさんの滑石とよばれる柔らかな石で作った玉類が出土しています。勾玉や管玉、臼玉、そしてボタンのような形をした有孔円板や剣形など、総数は4000点近くにのぼります。おそらく、ここで共同体の祭りをおこなったのでしょう。
布留遺跡では、このほかにも、布留川の北と南の数か所で、祭りにかかわる場所や遺物が発見されています。これらのことから、古くから物部氏が布留の地で祭りを行っていたことがわかります。