天理参考館
TENRI SANKOKAN MUSEUM

参考館セレクション

世界の考古美術海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)

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奈良県天理市 杣之内火葬墓出土
奈良時代 8世紀 径12.1cm 青銅
資料番号:

展示中 3-18

中国の唐の時代に愛好された鏡で、鏡背を葡萄唐草文と禽獣文で飾るのでこう呼ばれます。唐草文は植物の茎や蔓を表した文様で、西アジアから中国に伝わりました。葡萄の蔓は複雑に絡み合って中央から外に広がり、葉や房も鮮明に描かれています。鈕(ちゅう)は伏せた形の獣で、そのまわりに4頭の海獣を並べています。海獣とは海外、理想郷に住む想像上の獣のことで、猊(さんげい)と呼ばれ、獅子のような形をしています。さらにその外側には12羽の鳥と2匹の蝶が配されています。選び抜かれた材料を用い、細部に至るまで見事に鋳出された文様からみて、おそらく中国で製作された鏡と考えられます。  現在、杣之内火葬墓から出土した鏡と同じ原型でつくられたものが18面知られており、本館収蔵品の中にも2面あります。