張り子の面「柳翠」と「大頭和尚」(はりこのめん「りゅうすい」と「だいとうおしょう」)

張り子の面「柳翠」と「大頭和尚」
はりこのめん「りゅうすい」と「だいとうおしょう」

本品は、春節(しゅんせつ 陰暦の正月)に人家の門口に立ち、音曲を奏したり、芸を披露したりして金品をもらい歩く「門付(かどづ)け」の際に用いる張り子の面です。双方ともに、頭からスッポリとかぶって使用します。柳翠の頭部は清朝時代の満洲族婦人の髪型をかたどっており、2つ付いた髪飾りは、辟邪(へきじゃ)の力を持つ桃の花の形をしています。
柳翠と大頭和尚が演じる劇の由来には諸説ありますが、以下にそのひとつを紹介します。山奥の古寺に、大きな柳の木がありました。千年が過ぎた頃、この木は柳翠という美しい女性に姿を変えました。彼女は寺にいる頭の大きな僧(大頭和尚)にひそかに恋をしました。ある日、柳翠は線香をあげに来たふりをして寺に入り、彼をからかいました。僧は戒律を忘れて柳翠とたわむれ、冗談を言い合いました。通りかかった木こりが壁越しにのぞくと、僧と美しい女性がじゃれ合う様子が見えたので、彼はこのことを皆に話した、というのが劇の由来とされます。
本品を使用する仮面劇は、2名で演じることが多いです。1人は扇子やホウキなどを持った大頭和尚役、もう1人は布などを持った柳翠役となり、彼らが出会う場面を表現します。劇の内容は、2人が互いに追いかけたり、からかい合ったりするという、非常にユーモラスなものとなっています。
ところで東南アジアの中華街では、旧暦の正月などに獅子舞を行います。そのとき本品に似た和尚の面をかぶる演者が、獅子の相棒として現れることがあります。また神戸の中華街(南京町)で行う獅子舞でも、和尚の面をかぶった演者が登場します。このように大頭和尚の面を使用する劇は、現在でも各地で見ることができます。

参照ページ

中国 河北省
20世紀前期
高39.0㎝(左)
資料番号:10484、10487

展示中 1-0
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