儀礼用仮面“マイ”(ぎれいようかめん“マイ”)

儀礼用仮面“マイ”
ぎれいようかめん“マイ”

セピック河中流域地方に暮らすイアトムルの仮面で、「マイ」または「ムヮイ」と総称する精霊の仮面です。一木の細長い顔と、鼻が下方へ長く伸びてアーチ状に顎につながっているのが特徴です。顔全体に貝殻や鳥の羽毛、植物繊維などで華麗な装飾がほどこされています。
この仮面は男性の秘密結社の入社式で使用するといい、入社式に加入する年少者が被り、踊ります。ただ、この仮面は単独で顔に着用するものではありません。円錐型の籠編みの大きな枠組みに仮面を先に装着し、それを肩に担ぐようにして着用します。この枠組みには、さまざまな色の葉片や、植物繊維の束が取り付けられているため、着用者は足下以外をすっぽりと装飾された仮面に包まれるような格好になります。
マイ自体は氏族の先祖の他、森の精霊、サゴヤシ、ココヤシの精霊などといわれ、何の精霊なのかははっきりとわかっていません。ただ、マイは兄と弟、姉と妹の4体で登場するのが通例であったようで、超自然的な兄弟姉妹を表現しているともいわれています。
舞踊の際には、まず精霊の家とよばれる儀礼小屋の横に、傾斜がついた土台を設けます。これはマイの起源となった山々を象徴するといいます。儀礼が始まるとそこから仮面を被った男性達が大股で降りてきて登場します。そして女性たちも合流し、精霊の家の前庭の舞踊場まで同行し、舞踊が行われます。儀礼が終わると、男性達は精霊の家に戻っていきます。仮面は一度きりのものではなく、儀礼の無い日常では、その持ち主の家屋内に大切に保管されるとのことです。

参照ページ

パプアニューギニア セピック河中流域
民族集団名:イアトムル
20世紀前半
高84.5㎝ 木製、貝殻、鳥羽毛など
資料番号:70-1568

展示中 1-0
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